- 2013-11-27 (水) 15:50
- イノベーションフォーラム21
2013年2月22日(金) ~ 23日(土)、新経営研究会の主軸事業「イノベーションフォーラム」 の2013年度後期 第2回例会が、奥三河 (愛知県北設楽郡東栄町)の地において開催され、国指定の重要無形民族文化財 「花祭り」 を見学し、その奥三河の土地に溶け込んで活躍しているわが国有数の和太鼓集団 「志多ら」 の本拠地を訪ねて、その超絶の組太鼓と篠笛の演奏に感動し、改めて現代と伝統文化を顧みるひと時を持ち合った。
「花祭り」は鎌倉末期から室町の時代にかけて、熊野の山伏や白山の聖によってこの地に伝えられ、数百年に亘って今日に伝承される「五穀豊穣と神の大きな計らいへの感謝」、「厄除」、「生まれ清まり」を祈願する、土地の人々の素朴で強固な信仰によって支えられてきた祭りで、「花の舞」、巨大な鬼面を付けた「鬼の舞」、「湯ばやし」など、すべて青少年による13〜 16種もの舞が、祭場の中央に据えられて焚かれる大釜の周りを夜を徹して舞われる。ここで使われる鬼面も鈴も衣装も、すべて本業をもつ普通の村人の手によって代々作られ、伝承されて来ているもので、その鬼面も鈴も、またその鈴の音色や舞も村ごとに特色があって、微妙に違う。従って、これらの祭りで使われる道具や鬼面の作り手、舞の手が何かの理由で欠けた場合、簡単に隣村に助っ人を頼むというわけにはいかない。このような中で、「花祭り」 は数百年もの時を繋いで、今日に伝承されて来た。
1976年(昭和51年)、「花祭り」はこうして国指定の重要無形民族文化財に指定され、今日12地区において開催される。われわれが訪ねたのは「月地区」の花祭りで、これは鬼が焚火を「まさかり」で跳ね上げるという勇壮な舞で知られるもので、この情景はここ「月地区」の「花祭り」でしか見られない。因みに、舞床(まいど)の中央に据えられている大釜では、天下一品といわれる「みそ汁」が炊かれているのだそうである。
以下に、その折大変お世話になったKご夫妻、「志多ら」総合統括プロデューサーO様へ宛てたお礼状を以て、その内容をご報告することにする。(新経営研究会 代表 松尾隆)
御 礼 / Kご夫妻様、O様はじめ「志多ら」の皆様
謹啓 例年になかった暑さも過ぎ、いつか紅葉の候となりました。
Kご夫妻様、O様はじめ「志多ら」の皆様には愈々御清祥にてお過ごしのこと、心からお慶び申し上げます。
この度は、御地 「花祭り」に私共をお招きいただき、併せて和太鼓集団 「志多ら」の皆様の感動溢れる和太鼓と篠笛の演奏をお聴かせいただきまして、誠に有難うございました。
また、Kご夫妻様、「志多ら」の総合統括プロデューサーO様には宿のお手配、スケジュールのご調整をはじめ、万端のご準備をいただきますと共に、ご繁用の中にも拘わりませず、両日、K様、O様自らご案内いただき、この度、お二方からいただきました過分なご高配に、一同、唯々、深甚の感謝の念を表するばかりです。誠に、誠に、有難うございました。
とくにこの度は特別のお計らいに依り、K様のご自宅にて榊(さかき)鬼の巨大な鬼面の面付けと榊鬼の舞を間近に拝見させていただきますとともに、悪霊払いに榊鬼に身体の不調部分を踏んでもらうという過分なご配意をいただき、この度K様からいただきました身に余るご仁配には何と御礼申すべきか、言葉もございません。唯々、衷心より厚く御礼申し上げるばかりです。
加えて、奥様のY子様には大変珍しい天然の自然薯をご馳走になりますと共に、いただきました珍味 「蜂の子」 は区長のH様がわざわざ私共のためにお持ちいただいたものとか、その上、H様には、当日、私共に今昔・村毎の鈴の材質や製作、音色の違いと特色をご説明いただき、更に花祭り保存協会会長K様には、私共のために 「花祭り」 と榊鬼の被る鬼面についてご懇切なご説明をいただきましたばかりか、後で、恐らく私共が初めてと伺いましたが、鬼面を手に取っての鑑賞をお許しいただくなど、この度御地の皆様からいただきました言葉に尽くせぬおもてなしに、一同、唯々感謝いたすばかりです。
何卒、H様、K会長様には、私どもの深甚の感謝の念をお伝えいただきますよう、幾重にもお願い申し上げる次第です。
その後、お訪ねした月集会所の 「花祭り」 会場では、暫し我を忘れ、言葉を失い、只呆然と見入るばかりでございました。一段高い舞台に設えられた槻(つき)神社の祭壇を前にして、太鼓と篠笛、囃子で祭りを進行していく地区の長老や古老、湯蓋(ゆぶた)に飾られた広い舞庭(まいど)で、大きな釜の周りを地固めの舞を舞う二人の若い男衆、その舞を囃すように、自由に飛び入り参加する地区の若い男衆、それを眺め、合いの手を打ちながら祭りに参加している地域の老若男女…。「これは祭りの原点なのだ …!」と、只ひとりごち、感動するばかりでございました。
この祭りは他人(ひと)に見せるための、見てもらうための祭りなのではない。自分たちが1年を無事、平穏に過ごせたこと、自然からいただいた恵みとその大きな計らいへの心からの感謝、それを互いに喜び合う人々自身の祭りなのだということが、身体の随まで分りました。これまでに経験のない、言葉にならない感動のひとときでした。
「志多ら」の総合統括プロデューサーO氏から、「今、‘花祭り’を世界文化遺産にという声が出ているが、設楽(したら)の人々からはそれは何のための世界文化遺産か、という声が上がっている」 とお話しがありましたが、正に然りと共感いたした次第です。
また、「花祭り」 の見学に先立ち、「志多ら」 の本拠地をお訪ねさせていただき、誠に有難うございました。その上、O様には自らご案内いただき、「志多ら」 の皆様をご紹介いただきますと共に、K様には月地区の花祭りで部屋番という重責を担い、文字通り超ご繁用の中にも拘わりませず、東薗目の「志多ら」 の本拠地までお出迎えいただき、何と御礼申し上げるべきか言葉もございません。
お陰様で、「志多ら」 の皆様には貴重なお時間をお割きいただいて、その修練と生活の拠点で、感動という言葉以外に表現しようのない、素晴らしい和太鼓と篠笛の演奏をご披瀝いただいて、一同、心から感動いたした次第です。
恐らく、偶然にそれぞれが出会った道だったのでしょうが、その和太鼓の世界に打ち込んで生きているうちに、いつかその世界で生かされている自分に気づき、生かされている自分を懸命に生きようと、極限の技の修練に励み、時には修験道にも似た肉体と精神の鍛錬をされている皆様方の実に懸命な、ひた向きに生きる日々の一端に触れ、そして魂に直に伝わり、魂を震わせる組太鼓の音、まるで一つの桴(ばち)で打たれているような一糸乱れぬ超絶の技、それを支えている1時間にも及ぶという打ち込みの練習、裂帛の気合いとその息遣いに触れて、そこに人間が本来持つ魂の美しさ、強さ、優しさ、微塵も揺るがない互いの信頼を、身体が打ち震えるほどに、全身に沁み渡るように感じ入った次第です。
又、地元に溶け込んで生活されている皆様の実に自然なお姿に触れ、言葉にならぬ感動を押さえることが出来ませんでした。
そして、この度の御地の 「花祭り」、 「志多ら」 の皆様と和太鼓の演奏との出会いを通して、私たちは改めて 「人の心を打つとは何なのか、何が人の魂を震わせ、感動させるのか」 、その本質を、原点を教えていただいた思いです。
誠に有難うございました。
この度、言葉に尽くせぬご高配をいただいたKご夫妻様、「志多ら」の総合統括プロデューサーO様、代表N様、総合演出のC様、そして魂が震えるほどに感動の和太鼓と篠笛のご演奏をいただいた「志多ら」の皆様、有難うございました。
そして、この度のご縁が因となって、この度、「志多ら」様と弊会メンバーとの間に、新しいご縁が生まれましたことは、誠にご同慶の至りです。
皆様方の益々のご健勝と今後のご活躍を、一同、心からお祈り申し上げます。
今後のご高誼をいただきますよう、幾重にもお願い申し申し上げます。
謹白
平成25年11月24日 新経営研究会 代表 松尾 隆