『GEから世界シェア TOP の座を奪取した
MHPSの技術開発、日本のものづくりの原点』
正田 淳一郎氏
今期「イノベーションフォーラム」の第4回例会は、来る9月20日(金)、2018年、10万kW以上ガスタービンで遂にGEから世界シェアTOPの座を奪取した三菱日立パワーシステムズ(株) 執行役員 ターボマシナリー本部 副本部長 正田淳一郎氏から、「GEから世界シェアTopの座を奪取した世界最高効率ガスタービンの開発と、日本のものづくりの原点」と題してご講演いただき、併せて同社高砂工場を具に見学させていただきます。
MHPS製 最新型ガスタービン 提供:MHPS
三菱日立パワーシステムズ(株)は、2014年2月、大型ガスタービンを得意とする三菱重工業と中小型に強い日立製作所が両社の火力発電システム事業を統合し、当初からこの分野の世界の2強・GEとシーメンスを超えることを目標に発足した企業です。
今回われわれが学ばせていただきたいと願うのは、(1)2018年、10万kW以上のガスタービンで49%という世界のトップシェアを獲得した同社の超大型タービンは世界最高の技術と評され、オールジャパンとも言える、日本の総力を結集して実現されたものでした。しかし、生れも違い、其々に独特の伝統と個性を持つ巨大企業間で、それは如何にして達成出来たのか。日本の競争力回復のキーワードとしてよくオールジャパンという言葉が言われますが、その実態は掛け声で終わっていることが多いのが現実です。因みにこのJAC型ガスタービンは、2018年度優秀省エネ機器・システム表彰で「経済産業大臣賞」を受賞しています。
(2)第二に、この度の快挙は、謂わゆる昨今のAI、IoTなどデジタル革新を中心とする技術・生産革新に加え、その土台となる“ものづくり”に対する基本姿勢、“われわれ日本のものづくりの伝統・文化”が大きく与っているのかも知れない。われわれは今、時代の先進性、革新性を求めると同時に、原点に立ち返って“ものづくりの本道”を求め直す時に来ているのではないか、と痛感する次第です。
GEの超大型ガスタービン「HA」は、一時は発電効率で当時世界最高の62.2%を記録したのですが、納入後の製品の損傷トラブルが相次ぎ、市場の信頼を失っていきました。そのような中、MHPSの「JAC形ガスタービン」は、99.5%という驚異的信頼の下に今日に至っているのです。
(3)一方、世界の脱化石燃料化は進み、ガスタービン市場は確実に縮小化しています。2018年の世界のガスタービン需要は3180万KW。2015年のピーク時の1/2の落ち込みです。
このような中、MHPSは「ガスタービンは2050年頃まで世界で年間5000万KW程の新設需要がある」と、発電効率67%の新機種開発に傾注しています。しかし、エネルギー投資の流れは再エネに傾き始めているように見えます。MHPSの快挙が、「歓喜なき戴冠」と呼ばれる所以です。
今回は、「今後のエネルギー問題と日本の選択」についても考え合って参りたい、と考えます。
万障お繰り合わせいただき、ご参会下さいますよう、関係者一同、祈念いたしております。
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