4/25(金)
【訪問見学先】サントリー株式会社 山崎蒸溜所 (大阪府・三島郡)【ご講演者】サントリー株式会社 ブレンダー室長 明星 嘉夫『サントリーウイスキー 『美味品質』の取り組み』

【ご講演者】サントリー株式会社 ブレンダー室長  明星 嘉夫
【工場ご案内】サントリー株式会社 山崎蒸留所工場長 有田 哲也

  •  2025年度 前期「異業種・独自企業研究会」の第2回 例会は、来たる4月25日(金)、サントリー株式会社 山崎蒸留所 をお訪ねし、同社ブレンダー室長 明星嘉夫氏を講師としてお囲みし、上記テーマの下、同社「山崎蒸留所」を見学させていただきます。

    明星 嘉夫 氏

     「水と生きる」を企業メッセージとするサントリー(株)は、よく知られる通り、日本の四季、気候風土、自然がもたらす力を学び、研究、技術、そして情熱を受け継ぎながら、美味品質のウイスキーづくりを探求しつづけてきました。

     今回の訪問先 山崎蒸溜所は、原料から仕込み、発酵、蒸溜、貯蔵、瓶詰めに至るまで、つくり手たちが想いを込めて取り組んでいるサントリー モルトウィスキー蒸溜の拠点です。
     そして、この山崎の地こそ、1923年、サントリーの創業者 鳥井信治郎氏が日本初のモルト ウイスキーづくりを発念。その第一歩を踏み出した地でした。爾来、創業102年を迎えます。

     サントリーは1907年、大ヒット商品となる甘味葡萄酒「赤玉ポートワイン」で創業し、その祖業をスタートに山崎の地にモルト・ウイスキー蒸溜所を建設しました。

    有田 哲也 氏

     ウイスキーは出来たらすぐ売れるという商品ではなく、長年寝かせる(熟成させる)必要がある上、その出来不出来も貯蔵を待って初めて分かる、といいます。そのため、ウイスキー事業には長年貯蔵するための資金が必要な上、若し出来が良くなければすべてがムダに終わる、という大変難しいものということです。

     しかも当時、世界各国の酒造家が何度も挑戦しながら、スコットランド以外では成功していないと言われているモルトに日本の地で挑戦しようというのですから、誰もが不可能と考えるのは当然だったでしょう。

     サントリーが100年前(1923)、日本初のモルトウイスキー蒸溜所建設に踏み切ろうとしたとき、鳥井信治郎氏以外の取締役は全て反対したと言われます。それ程モルトウイスキーの蒸溜というのは、極めて冒険的な事業だったのです(同社HP)。

     昨年、2024年、ISC 《International Spirits Challenge :イギリスの酒類専門出版社“ドリンクス・インターナショナル”が主催するスピリッツ(蒸溜酒全般を指す名称)を対象にした品質・味覚競技会》 の2024年度 ジャパニーズ ブレンデッド ウイスキー(ノンエイジ)部門で、サントリーウイスキーの象徴的製品の一つ「角瓶」がゴールドを受賞しました。

     この 「角瓶」こそ、日本人の味覚に合う香味をひたすら追求し、ウイスキーづくりに挑んで14年後の1937年、遂に誕生させた、鳥井信治郎氏の信念と執念、「スコッチに負けない日本のウイスキー」、「美味品質」を求め続けた、日本のウイスキーの原点でした。

     ウイスキーには、今日、スコッチ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズ、アイリッシュなど、世界五大ウイスキーと呼ばれるブランドがありますが、最近日本ウイスキー(ジャパニーズ)への期待が高まってきているそうです。

    山崎蒸留所

     ここでジャパニーズと表示出来るのは日本国内で製造されたモルト及びグレーンウイスキーだけで、しかも3年以上の熟成が行われているものに限られ、糖化、発酵、蒸溜も日本国内で行われ、瓶詰も日本国内で行われている必要があるのだそうです。

     因みに、サントリーウイスキーは2003年、世界的な酒類コンペティション「ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)」で「山崎12年」が初めて金賞を受賞。以降現在に至るまで、数多くの酒類コンペティションで最高賞を受賞しています。

     サントリーウイスキーの美味品質への取り組みは、長年に亘る技術革新と伝統手法の組み合わせによって支えられてきました。とくに「つくり分け」と「つくり込み」という2つのアプローチが特徴的と言われています。
     「つくり分け」とは様々な原酒を準備し、その組み合わせで品質を保ちながら、多彩な味わいを表現する手法をいうそうで、「つくり込み」とは、個々の原酒の品質を最大限に高めるプロセスで、原酒の品質が高ければ高い品質の製品が出来る。細かな原料品質管理から始まり、貯蔵環境の管理、自生樽や樽材など調達樽の管理まで、徹底的に行われるそうです。

     この夢と苦闘を経て100周年を迎えたサントリーは、2023年~2024年、山崎蒸溜所と白州蒸溜所を中心に、100億円規模の設備投資をし、更なる品質向上に向けた取り組みの一環として、仕込みや蒸溜工程だけでなく、原料にまで徹底的にこだわる“原酒のつくり込み”、“直火加熱に加えて電気式加熱可能な蒸溜釜”を導入するなど、更なる品質向上に挑んでいます。

     この山崎蒸溜所は2023年秋のリニューアルオープンを目指して取り組まれたもので、 “日本の自然・風土に育まれ、つくり手の技によって仕上げられる、日本人ならではの繊細なウイスキーづくり” や、ものづくりの現場である“蒸溜所の魅力”をより一層体感していただける施設を目指した、とサントリー様は仰っておられます。

     サントリーは創業者である鳥井信治郎氏の「やってみなはれ」精神を継承し、ウイスキーづくりを生んだスコットランドとは異なる日本の気候と文化に合わせた、更には日本人の味覚に合った日本独自のウイスキーづくりを求め、展開してきた、と伺っています。

     そしてサントリーの企業理念は、「人と自然が響き合い、豊かな生活文化を創造し、人間の生命(いのち)の輝きをめざす」ことだと伺っています。  これまでも、「天然水の森」活動の経験を活かし、スコットランドで泥炭地(ピートランド)の復元活動、水保全活動などを推進してきました。

     そして今、サントリーは「コクと力強さ」を合わせ持つウィスキーの実現など“品質向上”、世界初のCO2排出ゼロを目指した水素エネルギー活用の蒸留など、“サステナブル”なものづくりに挑んでいます。

     私たちは、1963年、サントリーが二代目社長 佐治敬三氏の下、鳥井信治郎会長の有名な言葉 「やってみなはれ」で始った同社の困難を極めたビール事業を、46年目にして初の黒字転換(30億円)を果すまで見限らなかった同社の経営哲学と理念、多様な自然と生命、文化に対する深い共感に感銘を覚えている次第です。

     加えてeコマースに特化したセサミンなど世界初のサプリ事業、サフィニアや青いバラで知られる花卉事業、長らくサントリー ウイスキーのイメージ創造に言葉にならぬ程の貢献をした柳原良平と開高健のお二人、加えてサントリーホールやサントリー美術館…、サントリーには常に独創への挑戦と漂う文化の香りがあります。

     私たちには、現代における “日本ならではのものづくり”、“日本ならではの世界貢献”、 “日本ならではの世界へのアピールの仕方”がありそうです。それらを求め合う機会ともしたい、と願っています。

     皆様方の積極なご参加をお待ち申し上げてやみません。(新経営研究会 代表 松尾 隆)

    • 当日のスケジュール

      2025年4月25日(金)13:00〜17:30
      13:00
      ご挨拶
      13:05
      ご講演・質疑応答
      14:40
      行程ツアー
      16:30
      ライトパーティー
      17:30
      現地解散

      参加申込締切

      2025年4月3日(木)

      事務局:田中

    • 訪問先

      サントリー株式会社 山崎蒸留所

      大阪府三島郡島本町山崎5丁目2−1

      集合場所

      12:55 各自現地集合

      (株)サントリー山崎蒸留所

      詳細は後日ご案内いたします

      • ご昼食をお済ませの上お越しください
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