会場・オンライン併催

3/27(水)『自然と調和する科学技術』 昆虫の知能はAIを超えるか ?

東京大学 名誉教授 先端科学技術センター シニア リサーチ フェロー(特任研究員) 神﨑 亮平

  • ※ 見学:先端研保存の重要航空遺産 全木製 3m口径風洞(現在も稼働可)、AADスタジオ、バリアフリー並木研究室

    ※ 東京大学先端科学技術研究センター(先端研)は、1918年(大正7年)に設立された元東京帝國大学航空研究所


     皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
     さて、弊会が発足(1982年)と共にスタートさせ、今日、皆様の積極的なご参加をいただいております「イノベーションフォーラム」は、今年、お蔭様で 42周年を迎えさせていただきます。つきましては、その2024年度 前期 第2回例会が間近かに迫って参りましたので、下記により、改めて今回の詳細ご案内を申し上げます。

    会場:東京大学先端科学技術研究センター正門

    会場:東京大学先端科学技術研究センター正門


    3m口径の木製風洞

    見学:今だ稼働可能な重要航空遺産 3m口径の木製風洞

     今期、第2回例会は、昆虫をモデルにスーパーコンピュータによる大規模脳シミュレーションや昆虫制御型ロボットで世界に知られる生物学者、東京大学 名誉教授/同 先端科学技術研究センター(先端研)シニア リサーチ フェロー/前先端研 所長 神崎亮平氏を、同先端研にてお囲みし、『自然と調和する科学技術_昆虫の知能はAIを超えるか?』と題してご講演いただきます。

     併せて今回、関東大震災で崩壊した口径 2m、先端研の前身・東京帝國大学航空研究所に設置されていた日本最初の風洞が、1930年、口径 3m、当時日本最大口径の木製風洞として甦り、長距離飛行で世界記録を樹立した国産旅客機 YS-11の設計でも活躍した風洞が現在も先端研に保存され、しかもモーター、計器類ともに正常に働いて稼働可能、2019年、歴史的文化的価値が極めて高いと「重要航空遺産」に認定された木製 口径3mの風洞を間近に見学させていただきます。

     又、准教授 並木重宏氏より、先端研が力を入れているインクルーシブ・デザインラボをご案内いただきます。

     神崎亮平氏は、「昆虫はものすごい能力を持っている。現在全世界で知られている昆虫はほぼ95万種。 全動物種の約75%を占めている。昆虫は何億年も環境変化の中で進化、多様性をもって生きて来た。しかも昆虫は、人間がまだ気づいていない様々な自然現象の兆(きざし)に気づき、その能力を使って生きて来た」と言われます。

    神﨑 亮平 氏

    神﨑 亮平 氏

     これは人間の知見が土台となっている人工知能(AI)とは異なり、生物が環境との相互作用によって進化し、環境と共存する能力(生物知能)として獲得した課題解決法である。地球環境には、私たちがまだ気づいていない、様々な価値ある物理・化学情報が満ちている。昆虫は、そのような人間がまだ存在にすら気付いていない、従って価値も見出せていない様々な事象から様々な情報を得、課題を解決しながら生きて来た、と氏は述べておられます。

     中でも注目すべきは “昆虫ならではの高い情報処理能力” だと氏は言います。その特筆すべき一つは昆虫がフェロモンを感じとる能力で、「ファーブル昆虫記」にも紹介されているそうですが、雄のガは数キロ離れている雌をこのホルモンを感じ取って探し出すそうです。
     今回、氏開発の世界初、カイコガを使った驚異的「フェロモン感知ロボット」の実物を実際に拝見させていただきます。
     ヒトの脳は1,000億もの神経細胞から成っているそうですが、昆虫の脳は多くても100万前後。圧倒的に少ない。しかも、昆虫の脳は長さ2mm位だそうです。従って、ヒトの脳を理解する上で昆虫の脳は最適のテストベッドになる。しかしそれ以上に、昆虫には先に触れたように、われわれがまだその存在さへ知らない自然現象やそれを支えている事象、またその意味するところを感知する能力、それらを避けたり取り込む、われわれには見えていない技術・方法があることを知らされて、驚くことがあまりにも多いと氏は仰っておられます。

    上:カイコガの頭部
    下:拝見させていただく匂い感知ロボット実物

     従って、「自然を利用して更なる恩恵を受けることを願うだけでなく、人も自然の一部であることを自覚し、これまでの人間中心の視座(human-centered) から自然を中心とする視座 (nature-centered) への転換、自然と調和/共存する科学技術の創造が求められている。その視座を転換する上でも生物知能の研究は重要」と氏は強調します。

     そして氏は、「森羅万象を大切に考える東洋思想、とくに日本が培ってきた自然と共生する生き方、すべてを包括的に捉える「和」の視点に基づく科学技術の発展が今求められている。今日の諸問題に対して「Nature-Centered(自然主義)」の概念を新たに掲げ、様々な研究領域の考え方を統合した「和」のクリエイティビティを発揮することで、自然と社会のバランスよい問題解決をし、あらゆる人を受容するインクルーシブな社会の構築、社会のデザインが極めて重要となっている」と強調。

     先端研所長時代、氏はアートデザイン分野の世界第一級、第一線の実践者による先端アートデザインラボを創設しました。

     今日、氏は科学技術とアートデザイン、宗教 (哲学) との深い対話を通じてダイバーシティとインクルージョンの未来が生まれることを願い、高野山真言宗総本山・金剛峯寺 第415世座主 長谷部真道大僧正と共に「高野山会議」を主催しています。

     皆様の積極的なご参加を願ってやみません。(新経営研究会 代表 松尾隆)

    • 当日のスケジュール

      2024年3月27日(水) 13:30〜17:00
      13:30-13:35
      ご挨拶
      13:35-14:00
      自己紹介
      14:00-15:00
      ご講演
      15:00-15:10
      移動
      15:10-16:15
      同センターの見学
      重要航空遺産指定 口径3m風洞、AADスタジオ、インクルーシブ・デザインラボ
      16:15-17:00
      Q&A
      17:00-17:40
      神﨑先生をお囲みする懇親・交流会(自由参加)

      参加申込締切

      2024年3月19日(火)

      事務局:田中(Tel. 03-3265-4341)

    • 講演会場・アクセス

      東京大学 駒場キャンパスII 先端科学技術研究センター4号館1階『RCAST学堂 - Scuola di RCAST』

      東京都目黒区駒場4丁目6番1号

      • 小田急線・東北沢駅から徒歩8分
      • 京王井の頭線・駒場東大前駅西口から徒歩10分
      • 東京メトロ千代田線・代々木上原駅より徒歩12分

      駒場IIキャンパス地図

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