会場・オンライン併催

11/14(木)『小型月面着陸実証機SLIMの月着陸成功とその道程』

JAXA 宇宙科学研究所宇宙機応用工学研究系 教授 
SLIM (Smart Lander for Investigating Moon)プロジェクトマネージャー
 坂井 真一郎

  • 坂井 真一郎 氏

     今回 2024年度 後期「イノベーション・フォーラム」の第4回 例会は、JAXA 宇宙科学研究所教授、この度 旧ソ連、米国、中国、インドに次いで月面着陸を成功させ、しかもその着陸地点は当初目標位置から僅か55メートルしか外れていないという、正に世界初の「ピンポイント着陸」を成功させた、『小型月面着陸実証機 SLIMの月面着陸成功とその道程』について、JAXA 宇宙科学研究所教授・この度の小型月面着陸実証機SLIMのプロジェクトマネージャー 坂井 真一郎氏より、その夢と苦闘の道程をご披瀝願い、今後のご抱負についてご披瀝いただきます。

     この小型月面着陸実証機「SLIM」は、月面着陸精度の画期的向上(従来の世界目標・数km~10数km以内から100m以内へ)と探査機の小型軽量化技術の実証を目的としたプロジェクトで、2024年1月20日、世界初となる月面ピンポイント着陸に成功。これは従来の「降りやすいところに降りる」探査から「降りたいところに降りる」探査への道を拓いたもので、実際、着陸後に行った科学観測は、目標至近に着陸して初めて可能となったものだったと伺っています。今回、「SLIM」が月面着陸直前に分離した、野球ボール大の超小型ロボット・SORA-Q(ソラキュー)の愛称で呼ばれる“自律型月面探査ロボット”「LEV-2(Lunar Excursion Vehicle 2)」2 機は完全自律的に連携し、歴史的な一枚の写真を届けてくれました。

    (図1)SLIM

    (図2)逆さま状態のSLIM

    (図3)LEV-2(愛称:SORA-Q)

     この2024年1月20日午前0時20分に撮影され、同年1月25日、JAXAのによって公開された 月面傾斜地に逆さま状態で写っている小型月面着陸実証機「SLIM」を捉えた1枚の写真画像は、世界に衝撃を与えました(図2)。

     この完全自律型の月面探査ロボット「SORA-Q」は、JAXA、玩具メーカーのタカラトミー、ソニーグループ、同志社大学の4者によって共同開発されたものでした。

     今回の「イノベーション・フォーラム」は、先にご講演いただいた「ハヤブサ 2」のプロジェクトマネージャー 津田雄一氏、糸川英夫先生の最後の弟子で わが国 人工衛星第一号 “おおすみ”のプロジェクトマネージャー、今日の「内之浦宇宙空間観測所」決定時の最大の功労者・的川泰宣氏(弊会フェロー)のご紹介をいただき、この「SLIM」のプロジェクト・マネージャー 坂井真一郎氏ご本人から、今日に至る「SLIM」開発の夢と苦闘についてその道程をご披瀝願い、合わせて神奈川県相模原市のJAXA相模原キャンパス内の宇宙科学探査交流棟を見学させていただいて、実際にこの「SLIM」と「SORA-Q」を直に拝見させていただく機会をいただくことになったものです。

     なお、LEV-2の開発で重要ポイントの一つであったのが画像処理だった伺っています。月面に着陸したSLIMを自動的に検出し、撮影した写真の中から出来栄えの良いものを LEV-1 経由で地球に送るシステムを用意しなければならない。

     難しかったのは、「実物のSLIMを事前に見ることは出来ない上に、“地球に存在しない月面環境で正確に作動するシステム”を開発しなければならなかったこと」だったといいます。通常、打ち上げ前の宇宙探索機は厳重に管理されていて、ソニー開発陣といえども SLIMの実機を打ち上げ前に見る機会はなかったそうです。

     従ってAI専門家でも機械学習が使えなかったといいます。それは事前に本物が見られず、正確なデータが得られないためだったと伺っています。そこで独自の方法を考え出さなければならなかったといいます。

     

     画像処理のもう1つのポイントが、出来栄えの良い写真を撮影するための工夫だったそうですが、それは写真内のSLIMの位置と大きさを指標に、写真を評価するアルゴリズムの開発だったそうです。

     また見過ごされがちですが、「今回の成果として、民生品を手掛けるメーカーが市販のデバイスを活用して造ったロボットが月面で活躍した意義の大きさ」、だと伺っています。

     皆様のご出席を、心からお待ち申し上げてやみません。(新経営研究会 代表 松尾隆)

    • 当日のスケジュール

      2024年11月14日(木) 13:00〜17:30
      リアルとWeb(Zoom)の併催
      12:40
      JR横浜線「淵野辺駅」南口集合
      13:00〜14:00
      探査交流棟の見学
      14:00〜14:15
      (移動)
      14:20〜14:40
      メンバー自己紹介
      14:40〜16:10
      ご講演
      16:10〜17:00
      Q&A
      17:05〜17:35
      ミニ懇親会
      17:40
      バスで淵野辺駅までお送りします。

      参加申込締切

      2024年11月5日(火)

      事務局:田中(Tel. 03-3265-4341)

    • 見学先

      JAXA 相模原キャンパス内宇宙科学探査交流棟

      神奈川県相模原市中央区由野台3-1-1



      講演会場

      (独)国民生活センター 相模原

      神奈川県相模原市中央区弥栄3-1-1(JAXAから徒歩5分ほど)



      集合場所

      12:40 JR横浜線「淵野辺駅」南口 ロータリの先マイクロバス乗り場
      地図はこちら
      • ご昼食はお済ませの上お集まりください
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